F1ラスベガスGPで、スキッドブロックの規定違反により2台揃って失格となったマクラーレン。
同チームのザク・ブラウンCEOはこの一件を、「小さなミスが大きな代償をもたらした」と語ると共に、FIAですら「少し厳しすぎた」裁定であると認識していると述べた。 マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリは、ラスベガスGPで暫定2位と4位になったものの、レース後車検で車体底面にあるスキッドブロックが規則の許容範囲以上に摩耗していることが発覚したため、失格に。この裁定はチームに大打撃を与え、ポイントリーダーのノリスは、このレースを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペンに24点差まで迫られてしまった(ピアストリはフェルスタッペンと同点)。 ブラウンCEOはポッドキャスト番組『The Sports Agents』の中で、失格騒動を次のように振り返った。 「本当に小さなミスが大きな結果を招いたんだ」 「失格ほど重い罰はない。2位と4位だったんだからね。タイミングも最悪だ」 「多くのチームが同じ違反を過去に経験している。意図的でもないし、性能向上にも関係ない。ここ最近ではフェラーリもメルセデスも同じ理由で失格にされたことがあるが、それで気が晴れるかと言われたらノーだ。ただ、こういう出来事が起こり得ることを示す前例ではある」 「まさに紙一枚分の差だった。クレイジーだ」 1ミリ未満、しかもコンマ1〜2ミリというごく僅かな許容値オーバーで失格となってしまったマクラーレンの2台。ブラウンによると、FIAも罰則の大きさがミスの軽微さに見合っていないという見解を示しているという。 「スキッドが摩耗し過ぎてしまった理由はふたつある。技術的に難しすぎる話はしないが、ひとつは車高を低くし過ぎたこと、そしてもうひとつはポーパシングと呼ばれる、空力の影響で車が上下に跳ねる現象が起きたことだ」 「ただ我々も異常なほどに車高を低くしていたわけではない。木曜と金曜のセッションで雨が降ったことでデータが足りず、過度なポーパシングを起こしてしまったんだ」 「それでも他の9チームは合法だったわけで、結局のところ我々が間違っていたのだ。FIAもこのペナルティが少し厳し過ぎたと感じているとのことで、振り返りをしているが、ルールはルールだ」 2台失格となったラスベガスGPの結果は、マクラーレンに当然大きなショックを与えたが、彼らは翌週のカタールGPに向けて気持ちを切り替えた。ブラウンCEOはこう語る。 「もちろん私もチーム全体も、土曜の夜、そして日曜までは怒りと失望でいっぱいだった。でもしっかりと休んで、ドライバーも48時間は放っておくんだ」 「それからみんなが再び集中し、シーズンはたった1戦ではなく24戦あることを自覚し始める」 また、タイトル争いの流れが残り2戦でノリスないしマクラーレンの2台に傾き始めた中での失格裁定だったため、これはフェルスタッペンを加えた三つ巴の争いにさせるためのFIAの陰謀ではないかという声まであがるようになった。これについても、ブラウンCEOはコメントした。 「色んな人に聞かれたよ。それを私が言ってしまったら、言い訳に聞こえるだろう。だから私はその話はしない。『我々が間違えた』と言うつもりだ」 「確かにルールは少し厳しい。パフォーマンスに影響したわけでもない、のだが……結局のところは我々のミスだ。ルールはルールだ。相手が違反したら罰せられるべきだと言っておいて、自分たちの時だけ『まあ、ほとんどセーフだからいいじゃないか』とは言えない」
