ホンダF1、アストンマーチンとの提携で育成システムにも変更が?

HRC渡辺社長「将来的には一緒に何かできればと思っている」 ホンダは、2026年からアストンマーチンをパートナーとして、F1に復帰することを決め、5月24日に発表を行なった。この提携により、ホンダのドライバー育成プログラムにも影響が及びそうだ。  ホンダは現在、佐藤琢磨をカート・フォーミュラクラスのプリンシパル(校長)、中野信治をヴァイス・プリンシパル(副校長)とする体制で、若手ドライバーを育成するホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)を運営している。このスクールはかつては鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS)と呼ばれ、多くの人材が世界へと巣立っていった。佐藤琢磨も、そして現在F1を戦う角田裕毅も、SRS時代に同スクールを卒業したドライバーである。  そんなHRSを卒業したドライバーは近年、現在HRC(ホンダ・レーシング)がF1でタッグを組むレッドブルの育成プログラムを通して世界へ羽ばたいていった。レッドブルに認められると”レッドブル・ジュニア”の一員として活動することとなり、前述の角田はそのルートを辿ってF1へと到達。今年はFIA F2に参戦中の岩佐歩夢と、イギリスのGB3に参戦する荒尾創大という日本人ドライバーふたりが、レッドブル・ジュニア・チームのメンバーとして名を連ねている。  またレッドブルF1のセルジオ・ペレスは、現在HRSのアンバサダーを務めている。  しかし、ホンダは2026年からアストンマーチンをパートナーとすることが決まり、レッドブルも2026年からフォードと組むことが決まっている。このことは、当然育成システムにも影響が及ぶはずだ。  これについてHRCの渡辺康治社長は、すぐに大きな変更をすることはないものの、将来的にはアストンマーチンと育成に関するプログラムを創設する可能性があると示唆した。 「急に色々なことを変えてしまうと、(HRS/ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿の)生徒のみなさんに迷惑をかけてしまいます。ですので、基本的にはレッドブルとやっていきながら、どうやってシフトしていくのかというところを議論したいと思っています」  そう渡辺社長は言う。 「将来的にはアストンマーチンと一緒に何かができればいいと思っています。ただ、具体的にはまだ決まっていません」  ホンダ育成出身兼レッドブルのドライバーでもある角田裕毅と岩佐歩夢のふたりの扱いについても、レッドブル側と慎重に話を進めていくと渡辺社長は語る。 「これからレッドブル側、(クリスチャン)ホーナー代表らと、色々と話をしていかなければいけません」 「枠組みをガラリと変えることで、彼らの目の前に今あるモノがなくなってしまう……そういうのはあってはならない……そこは慎重にやりたいです」 「彼らはホンダの育成出身ドライバーですから、当然今後もサポートしていきます。やれるところは、全面的にバックアップしていきますよ」  渡辺社長は、F1復帰の発表記者会見でもこの件について語り、HRSからアストンマーチンF1のシートを狙えるようなドライバーが出てくれることを期待していると語った。 「当然我々は日本人ドライバーや、ホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)というレーシングスクールを持っておりますので、そこからもぜひどんどんチャレンジしていただいて、その候補になれるようになってもらえたら嬉しいなと思っております」  なおアストンマーチン側も、素晴らしい才能を持った日本人ドライバーを起用できることを期待していると語る。 「競争力のある日本人のドライバーと仕事ができるのを楽しみにしている」  そう語るのは、アストンマーチン・テクノロジー・グループCEOのマーティン・ウィットマーシュである。 「ホンダとアストンマーチンは、共に勝利を目指していく。そのためにはベストなドライバーが必要なのだ。そして、才能溢れる若い日本人ドライバーが登場するのを楽しみにしている」 「(2026年に)起用するドライバーは、今後数年間かけて話し合っていくことになるだろうね」