私は、かつてメカニックを要請されてドイツに約25日滞在したことがあります・・・

私のカートショップHPを海外で見た、ドイツ国内の選手の保護者に依頼されて
私は約3週間 ドイツでカートメカニックをした経験があります・・・
突然ドイツから電話が来て、「息子のメカニックをお願いしたい」との依頼でした・・・

そこで依頼を受けて、ドイツ国内カート選手権(たしかDTM)2レースとその間の7日間 サーキットでのトレーニングするという内容でした。
シューマッハ兄弟で有名になったドイツですが、子供たちの環境は非常にシビアなところがあり ベッテルなどもそうだったのですが、学校は出席日数に関係なく期末試験さえ合格すれば、その学年は 終了したことになるそうです。

ですから親がその気になれば、子供にやりたいことを専門にやらせ、家では家庭教師をつけて各学年を 終了していく・・・このパターンは今でも同じなようです・・・
シューマッハの場合には、兄弟にカートをやらせるために父親がカートコースの管理人の仕事を しながらシューマッハ兄弟をカート走行で優遇させたというのは有名な話です・・・
しかし、親が子供の環境を整備するという考え方はまったく上記の例と同じですね・・・
ドイツに行って最初のレースはすぐに始まったので、環境整備もできないままドライビングのアドバイス、
路面の状況から考えられるシャシーセット程度で、本格的な指導はレース直前であったためあえてしませんでした。 走っている時のカートの動き、シャシーセットの方向性を拝見していました・・・
ある時点で、セットの方向性が間違えていることに気が付きます。

それの理由は何なのか・・・
いろいろ過去の経緯を聞くうちに、父親がかつてハコのレース(市販車ベース)をしていた、 という内容を説明されました・・・ その時に理由が分かりました。
父親がしていた当時の箱のレースはデフをガチガチに固め、いわばリア左右の内輪差を半ば無視して リアのセットをしていたのです。
したがってリアを流すことを前提に、車の作り方、走り方をしていたわけです。
ところがそれではハイグリップタイヤのカートでは、リアがドリフトすることを前提に、走り方、セット両面で考えると 「タイヤが新しければ新しいほどタイムが落ちる」という結論になります。
タイムトライアルもまったくそのままで、全30台前後で25番手くらいだったと思います。
その日だけではどうすることもできず、そのまま決勝が終わって結果も25番手前後だったと記憶しています。
そこから次のレースまで約2週間、エンジンの準備とシャシーの準備、説明等いろいろやらなければなりません。
次のレースまでの2週間の間に、2つのサーキットに練習に行き、ドライバーを改善するのに結構大変でした。
しかし、レースの結果をよくするためには避けて通れません。

走り方の間違いを、親に説明してから次にサーキットで子供と親に説明するという時間に約2週間を費やしました。 その間、実際サーキットに行って指導したのが2回・・・
そして実際の次の国内選手権が来ました。
途中経過はともかく、レース結果は決勝6位前後のゴール・・・
大きな成果が出た3週間だったと思うのですが、もっとじっくり指導できれば表彰台も可能だったような気がします。
ちなみに、そのレースにはラルフ・シューマッハがメカニックをしてラルフの息子が同じレースで走っていました。 クラスが違うため、そしてこちらのレースで忙しく、成績はまったく記憶にありませんがそれ程「カートショップ」 あるいは「カートレース屋さん」が非常に少ないという事情があることは間違いないようです。
なにはともあれ、「私のカートレースの指導の仕方」に間違っていないことを確認できた経験でした。

   BY 根田