酷暑時に使用のF1ドライバー冷却キット、今季の義務化は見送りへ。ドライバーの選択式に

motorsport.comの調べによると、酷暑のレースでドライバーを守るために開発されたドライバー冷却キットについて、今季に限り使用しないという選択肢が与えられるようだ。  2023年カタールGPでは、ウイリアムズのローガン・サージェントが熱中症でリタイアとなり、アルピーヌのエステバン・オコンがヘルメットの中で嘔吐、アストンマーティンのランス・ストロールが一時意識を失うなど、体調不良を訴えるドライバーが続出した。  そのためFIAは再発を防ぐべく、対策に乗り出した。当初はコックピットに簡易的なエアコンユニットを導入することが検討されたが、マシンへ搭載する上で障壁が多く断念された。  そのため、既存のウェアラブル冷却キットを利用することが望ましいと判断され、チルアウト・モータースポーツが製造した冷却キットをF1に導入することが決まった。  サイファー・プロ・マイクロ・クーラーと呼ばれるこの装置は、コンプレッサーや熱交換ユニットが入ったボックスと、ドライバーがスーツの下に着用する耐火シャツで構成される。 シャツにはドライバーの胸と背中を包むように配置された、長さ合計約48メートルのチューブがついている。これらのチューブがボックスに接続され、流体がこのチューブを流れてドライバーを冷却する。  この装置の開発における主な課題のひとつは、冷却装置がクラッシュ時の耐火性に関するFIAの厳しい規則に確実に適合させることだった。  FIAは声明の中で、「FIAとF1チームの間で行なわれた作業を経て、ドライバー冷却システムを最終決定した」と述べた。また今週初めにロンドンで行なわれたF1委員会でこのシステムが承認されたという。  委員会では、このシステムをいつ使用する必要があるのかについての定義も定められ、気温が一定のしきい値に達した場合にのみ、チームがマシンに搭載することになる。 このしきい値は、F1サーキットの周囲に設置されたFIAのセンサー(各F1サーキットには4つのウェザー・ステーションが設置されている)で周囲温度が31度を超えた場合に設定されている。  大きなレギュレーション変更が行なわれる2026年以降は、ドライバー冷却システムがマシンから電力供給を受けて駆動されることになるが、2025年は外部バッテリーパックを使うことになる。  また2025年については、冷却キットを使用しないという選択肢も与えられるという。ただその場合でも、重量面で有利にならないよう、コックピット内に500gのバラストを積むことになる。  義務化までの猶予時間が設けられたことにより、システムの実証研究がさらに進み、2026年に向けてシステムがさらに改良される可能性もある。  昨年のハンガリーGPでは、カタールで起きたような事態の再発を防ごうというFIAの取り組みに対し、ルイス・ハミルトンは「必要ない」と切って捨てた。 「そんなことは必要ない。これがF1だ。いつもこうなんだ。このコンディションでは厳しい」 「僕たちは高給取りのアスリートだ。この暑さに耐えられるように、必死にトレーニングしなければならない」 「タフだよ。特にカタールやシンガポールのような場所に行くのは簡単ではない。でも、クルマにエアコンユニットは必要ないと思う」